終末期とは、文字通り、死ということである。
新聞やテレビを見ていると、日常茶飯事に多くの方が亡くなっているが、その多くが予期せぬ状態で終末期を迎えている。
しかし、逆に予期される死とはどのようなものであろうか。
死と終末期研究の先駆者、エリザベス・キューブラー・ロス氏によれば、死期を迎えた人は典型的に、拒絶、怒り、交渉、うつ、受容の5つの感情段階をこの順番で経験するという。
拒絶期の人は、自分が死ぬことはないかのように行動し、話し、考えます。
拒絶の感情は、コントロールを失くすこと、愛する者から別れねばならないこと、未来が不確かなこと、苦悩することを恐れるために生じます。
医師や医療専門家と話し合うことにより、コントロールはまだ自分の手の中にあり、痛みや症状もコントロール可能なことを理解できます。
怒りは、「なぜ私が?」と不公平を感じる気持ちとして現れます。
交渉は死を論理的に考えているしるしで、患者は時間を求めるようになります。
交渉などの対応がうまくいっていないことがわかると、うつが生じます。
受容の感情は、運命との直面と表現されることもありますが、家族、友人、ケア提供者と話し合った後に現れます。
死を覚悟するのはとても辛いことであり、したがって、頻繁な感情の浮き沈みを伴います。
多くの人にとって、死を覚悟するということは、新たな理解に達し、成長することと考えられます。
過去の痛みを忘れ、関係を修復することにより、死にゆく人と家族は心の平安を得ることができます。
(メルクマニュアル -終末期を迎える-より)
個々の人間は非常に複雑であることを認識した上で、果たして自分自身がこのような通常?の過程を経て終末期を迎えるのだろうかと考える。
おそらくは、短期間に、あるいは一瞬のうちにこのような過程が訪れてしまうのかと思う。
そうして、心の平安が得られないうちに終末期を迎えてしまうのだろうか。
答えはでない・・・
※
エリザベス・キューブラー・ロス(Elisabeth Kubler-Ross, M.D. 1926年7月8日 - 2004年8月24日)
精神科医で、死と死ぬことについての画期的な本(『死ぬ瞬間―死とその過程について』)の著者 。
その本の中で彼女は初めて今日死の受容のプロセスと呼ばれているキューブラー・ロスモデルを提唱している。まさに死の間際にある患者とのかかわりや悲哀(Grief)や悲哀の仕事(Grief work)についての先駆的な業績で知られる。
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