12/06/2011

膵臓がん

膵臓がんの記事が新聞に掲載されていたのでまとめてみた。
単にまとめるのも何なので有名人で膵臓がんで亡くなった方はどのような人がいるのだろうと思って調べてみた(下記、敬称略)。

元総理 阿部晋太郎
小説家 栗本薫
女優・声優 曽我町子
相撲力士 大翔鳳 昌巳
小説家 正宗白鳥
元公明党衆議院議員、中川嘉美
歌手 日吉ミミ

まれでは無いことがわかる。年間2万7千人の方が亡くなっており、がんの中では5番目に多い。
日本膵臓学会の調査では、最も初期のステージ0*で発見されると、5年生存率は、85.8%だが、肝臓などに転移し、ステージⅣ*にまで進むと、生存率は2.7%となるということだから、膵臓がんに対しても早期発見が如何に重要かということが分かる。

ところが、膵臓がんは「沈黙のがん*2」とも呼ばれているのでやっかいである。
見つかったときには手遅れの場合が少なくない。

膵臓は、臓器の位置として、内臓の奥深くにあり、体の表面から検査する腹部超音波検査では、腹の脂肪、膵臓手前にある胃の中のガスが邪魔をして画像の映りが悪く、小さいがんの発見はむずかしい。
しかし、最近は、EUS(Endoscopic ultrasonography)と呼ばれる、装置の先端部分が超音波プローブになっている超音波内視鏡を用いて早期発見をできるようになってきている。
また、膵臓がんの特徴も以前よりは把握されてきている。
膵臓の主膵管が太くなっている、あるいは、膵臓の中に膵嚢胞という膵液の入った袋ができている人は、そうでない人に比べて約3倍、、または、その両方がある人は、27.5倍の罹患のリスクがあるということだ(大阪府立成人病センターの研究)。

ただし、検査装置が比較的大きな総合病院や大学病院などでしか設置されていない、また、検査には医師の熟練した技術が必要といった、ネックがある。

いずれにしろ、膵臓がんの近親者がいる方、糖尿病の方は特に注意が必要だし、人間ドックで膵管の拡張や膵嚢胞などを指摘されたら、必ず精密検査をすべきだろう。

(*1)
膵臓がんの進行について。
ステージ0:膵臓の上皮にがんがとどまる。
ステージⅠa:膵臓の内部にがんがとどまり、大きさは2センチ以内。
ステージⅡa:膵臓の周囲にがんが及んでいるがリンパ節転移はない状態。
ステージⅣ:膵臓から離れたところに転移がみられる。

(*2)膵臓がんの症状
膵臓がんには3種類あり:膵頭部がん(全体の60~70%)、膵体部がん、膵尾部がん。
すい臓がんの共通した主な症状:体重減少、腹部膨満、便秘、下痢など。
膵頭部がんの主症状:上腹部痛、背部痛、黄疸+食思不振、全身倦怠感、心窩部不快感、腹部膨満、体重減少(一般的な消化器症状)。
膵体部がん、膵尾部がんの主症状:上腹部痛や腰背部痛など。ただし、黄疸は出にくい。

11/29/2011

丹沢湖マラソン大会---脱水症には2種類ある---

2011年11月27日に丹沢湖で行われたマラソン大会に出場した。
この大会は、ハーフ、10km、6km、3kmの4種目があり、それぞれに男子、女子に分かれ、年代別にも分かれている。
10lkmに出場した。この距離では、1237名が出場。
この距離のトップ走者は、年齢によるが、33分~40分のタイムでゴールしている。
コースは、アップダウンガあり、いつも走っているコースと比較するとかなりきつかったかなという感じ。
走り始めてすぐ、やけに1kmが長いなと感じた。
永蔵橋付近からスタートし、玄倉付近までの4kmまではまあまあいい調子だったが、その後5km付近から左膝は痛んで来るし(円皮鍼を貼ってくれば良かった)、11時スタートに朝4時起きで支度して出かけたせいか体全体の調子も上がらない。折からの登りコースで足がなかなか踏み出せない。
後ろから、格好いい黒いスポーツタイツでピンクのスカートをはいた女性ランナーに次から次へと抜かれる。
これが10年も若ければ追いつき格好良く抜いていくところだが年のせいか、その気力も失せる。
8Kmくらいになるとほとんど気力のみでゴールに向かう。
きついのは最後に長い登りのコースが待ち受けていること。
この長いコースを抜け、漸くゴールの三保中学へ。

ゴールするとまず腰の痛み、首筋の強烈な痛みが襲ってきた。
腰付近は、腸腰筋あたりのせいだろう。大腿部をだいぶ酷使したから。
首筋はどうだろう。どちらかに偏った痛みは内蔵疾患(左肩の場合は、心筋梗塞の疑い)の恐れがあるが、どうも偏りはなさそう。
それと立ちくらみというか天候が良かったせいかもしれないが、まわりの光の反射した部分が普段と異なりやけにまぶしく感じられ、立っていられない。
貧血の様な感じがする。しばらく座り込む。貧血であれば、横になり、足を高くして休養をとる必要がある。喉は渇いていないが、マラソン途中、水分補給は1回のみ100ccくらいだった。

あとでよく考えたら脱水症状ではないかと思う。
脱水症と聞くと、まずは喉が渇くといった症状を思い浮かべるがそうではない脱水症状もある。
口渇無い、倦怠感、立ちくらみ、多少の嘔吐感、などの症状を考えると、「低張性脱水症」ではなかったか。
これは、電解質(NaイオンやClイオンなど)の欠乏が、水分の欠乏に比べて顕著に大となる場合に起きる。
水分と電解質が欠乏した時に水分補給だけした場合に起きるとあるが、水分補給だけの場合以外も起きるのではないか。
治療としては、Naを与えるとある。
いずれにしろスポーツ飲料の類の補給(水分と電解質双方を補給できる)がいいだろうと思う。

いずれにしろ、脱水症まで起こして参加した丹沢湖マラソン、終わってみれば、富士山がよく見えたなかなかの大会だった。
タイムは、71分、記念のTシャツをもらい、しし鍋を食し身も心も温まった一日であった。
来年も出ようか・・・

11/22/2011

PSA再検査結果

2011年10月17日にPSAの再検査を行ったが、10月31日再受信し、結果をヒアリング。
結果は、3.98であった。
引き続き、ハルナールD錠0.2mgを服用し経過を見ることとした。
しかし、頻尿はあまりおさまっていない。だいたい、2時間に1回の割合で夜間は起きる。
この先どうなるのか。

なお、前立腺肥大の手術をするとなると、前立腺の移行領域とう部分を切除するということ。
リスクは、だいたい5%の患者が再手術ということ。
年齢でのリスクはあまりなく、高年齢者も手術しているので、年齢が高くなり手術に耐えられないという予想で、そのために早い段階で手術に踏み切るより、今の段階(60歳)では様子見がいいのではというアドバイス。
12月に再受診。

10/25/2011

前立腺肥大

前立腺肥大といわれて久しい。
しかし、PSA(*1)が高値になったので安穏としていられず、泌尿器科を受診。

2011年9月13日 成人病検診を受診。PSAが、4.116。昨年は、4.357。
2011年10月17日 赤坂見附にある病院の泌尿器科のドクターに受診。
2010年12月にかかったときは、直腸触診、及び、念の為にMRIを受け、前立腺がんの徴候はないとのことだった。
今回も、ドクターの所見は、おそらくがんではないとのこと。ただし、触診などはしていない。
念の為に血液検査をするために採血を実施。
また、夜は、2時間おきに排尿を催すことを訴えたが、とりあえず薬を処方しようということでハルナール錠(*2)を処方された。

その他検診での指摘項目:
右下肺野陳旧性炎症→放置可能所見
十二指腸球部不充→放置可能所見

前立腺とは:
男性固有の器官であり、膀胱の下に存在する。
大きさは、クルミ大で、内部を尿道が貫通している。
前立腺は、前立腺液を分泌し、その粘液は、精子の保護、精子への栄養を与えるなどをします。

*1)PSA: Prostate Specific Antigenの略。前立腺特異抗原。
PSAは本来、血液中に排出されることはない。
前立腺から分泌された粘液は、精子が体外に放出される時に精子の運動性を高める役割を果たすので、健常男性であれば、血液中にPSAが排出することは非常に稀と考えて良い。
従って、血液検査でPSAが検出されると前立腺に何らかの異常があると判断されるわけである。
正常範囲→0.000~4.000 ng/ml

*2)主な副作用として、めまい、胃不快感、かゆみ、発疹、じん麻疹などがあるとされる。

参考webサイト:
治験ドットコム

9/07/2011

どの程度、放射線を怖がる必要があるか?

放射線防護は、法律で1年1ミリシーベルトが被曝限度とされていますから、その点ではすでに決まっているのですが、相変わらず政府は20ミリまでと言ったり、食品の暫定基準値が高かったり、学者の方が「放射線は浴びても大丈夫」と発言したりしていますので、「どうしようか?」と思っておられる人が多いので、再度、「どの程度の放射線を怖がる必要があるか」ということを説明しておきたいと思います。

【基礎知識】

基礎的には実に簡単です。

1. 学問的には1年100ミリ以上の被曝と病気の関係しかわかっていない(低線量の健康への影響は、医者の間で合意されていない)。

2. 学問は研究中は研究者同士の合意はできず、ほぼわかったら合意できる状態になる。

3. 1年100ミリ以下は「わからない」のであって、「危険」か「安全」かもわからない(医師同士で合意できない)。

4. そこで、1年100ミリから0ミリまで直線を引いた(このことを「***仮説」と呼ぶこともあるが、学問的には仮説と呼べるものではなく、「わからないから直線を引いた」にすぎない。「直線仮説」等というと議論したくなるが、もともと学問的な根拠がないのだから議論しても意味がない)。

5. つまり、1年100ミリ以下はわからないのだから、「エイヤッ!」と直線を引いただけ。人間にはわからないことがある。科学にも医学にもわからないことが多いことを認める。

6. このような場合、国際的にもやり方が決まっていて、それが「予防原則」であり、「取り返しのつかない損失」が予想される時には安全側をとることになっている。

7. 「風邪を引く」のは「取り返しがつく」と判断され、「ガンになる」は「取り返しがつかない」と分類される。近い将来にガンも「取り返しがつく」ことになると思うが、今のところ、「取り返しがつかない」に分類されている。

8. そこで、1年1ミリについては、(推定で)3人の医師が「危ない」と言い、7人の医師が「安全」というような状態だ。つまり1年1ミリ以上でも大丈夫だという医師の方が多いが、危険だという医師(主にヨーロッパ)がおられるので、慎重を期して1年1ミリに決めている。信念として被曝は危険としている医者もいるし、安全としている医師もいる。また学問的によく考えて安全としている医師もいる。

9. 国際的には1年5ミリ程度まで大丈夫ではないかという医師が多い。10ミリを超えると危険な可能性があるという医師が増えてくる。

10. これらから国際的にあるいは日本の法律で、予防原則の思想に基づき、1年1ミリと決まっている(社会的合意であって、医学的な合意ではない。それは医学者も知っているが、医学的に合意できないのだから仕方が無い)。

【具体的な方法】

1. 学者や医師は大いに議論して貰いたい。ただ、一般の人に自分の研究結果を伝えるときには「研究中であり、現在の社会的な合意とは違う」と言って欲しい。

2. 学者や研究者は、学問が間違いを含むことを常に意識し、自分の間違いの可能性について他人に損害を与えないように注意をする必要がある。

3. 子供の健康に責任を持っていない人は、あまり論評しない方がよい。特に社会全体に興味があり、個別の子供のことには関心の無い人はコメントを控えた方がよい。子供が病気になっても責任を持てないから。

4. 子供は放射線に対する感度が約3倍、被曝チャンス(地面に近く、運動などもするし、給食で強制的に汚染食材を食べさせられたりするから)も約3倍で、合計10倍だから、子供の1ミリは大人の10ミリに相当する。

5. 子供とともにいて、「今日、ここにいて良いのか?」、「この食材を食べさせたら良いのか?」と具体的に考えるお母さんの気持ちになって決めなければならない。

6. お母さんは「50%、ガンになる可能性がある」としたらゼッタイに避ける。「10%(10分の1)、ガンになる可能性がある」でも普通は避ける。お母さんが100分の1でも危険を回避してくれているので、日本の子供がすくすく育っていることを多くの人が理解しなければならない。

7. お母さんは慎重派であり、だからこそ子供が元気に育っている。
おそらく1年5ミリ以上を浴びても90%以上は安全と思うが、それではお母さんは子供を被曝から守るだろう。

8. 胎児、若い女性なども子供と同じように考えた方が無難である。おそらく子供より3倍ぐらいは安全である。

9. 若い男性もまだ感度が高く、一時不妊の可能性もあるので、女性の2倍ぐらいは安全という感じである。

10. 年取った男性はかなり安全である。ただ、子供や女性のことを親身で考え、「今日、自分の孫とここにいて良いのか? 確率的には10%の危険性という時に孫はどうするか?」と具体的に考えること。

よくおわかりになったと思います。つまり「被曝は大丈夫」と言っているお医者さんがおられても、子供を守るお母さんは安心できないということと、被曝と健康障害の関係は「誰でもガンになる」というのではなく、可能性が高いということから注意が必要なのです。

(武田邦彦(中部大学)教授HPより引用 )

7/14/2011

夏でも心筋梗塞や脳梗塞に気をつけて!

日本人の死因のトップ3は、何だと思いますか?
その3つとは、悪性腫瘍(がん)、心疾患、脳血管疾患といわれています。
心疾患は、心筋梗塞、脳血管疾患は、脳梗塞が大きな割合を占めています。
そして、これらの疾患は、冠状動脈や脳動脈などの血管を血液の塊「血栓」によって詰まることで引き起こされます。

2011年7月13日に日本ナットウキナーゼ協会が「夏の血栓症」に関して Web でアンケート調査を実施し、結果を発表しました。
それによると、夏の「暑さにより発症する病気で、気をつけているものはありますか?(複数回答)」の質問では、熱中症が最も多く66.5%(532人)を占め、血栓症を気をつけていると答えたのは僅か9.6%(77人)だったそうです。

平均気温が32度に上昇すると脳梗塞での死亡率が、平均気温27~29度の場合に比較して、1.66倍になるとの海外の研究報告もあるそうです。
これは、大量に汗をかくことで、血液中の水分が減り血栓ができやすくなることが主な原因と考えられます。

予防対策:

夏血栓の予防には、普段からこまめに水分補給をすることが重要ですが十分に補給できていますか?

成人の体は1日約2.5リットルの水分が必要で、そのうち食事や代謝から摂取できる水分は1日約1リットル~1.3リットル。
残りの1.2リットル~1.5リットルは、飲み物から摂取しなければなりません。

暑くなると、どうしてもビールなどのアルコール類を飲みたくなりますが、アルコールには利尿作用があり、喉が渇いている時に飲んでしまうと、体内の水分が奪われて血栓症になりやすい状態を作ります。

また、単に水分だけでなく、水分と共にナトリウムなどの体のイオンバランスにとって無くてはならない成分も失われます。
市販されているイオン飲料なども上手に活用して血管内の血栓化を防ぐことも重要ですね。

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「がん」と「癌」:
「がん」と「癌」は厳密には、その意味するところが異なります。
「がん」は英語のcancer、「癌」はcarcinomaに相当します。
つまり、「がん」は「癌腫」・「肉腫」や白血病・リンパ腫などの血液系の病気も含む悪性疾患一般の総称として用いられるますが、「癌(癌腫)」は、肺癌・胃癌・大腸癌・乳癌など上皮性の悪性腫瘍のみに限定して用いられ、肉腫や白血病・悪性リンパ腫は含まれません。

7/04/2011

ピラニアの必要性

最近、猪瀬直樹著「突破する力」 を読んでいる。
その中で、台湾からのウナギの稚魚を船で輸入するとき、ただ単に、ウナギの稚魚を水槽に入れて運ぶだけでは、大半の稚魚はくたびれて死ぬが、その中にピラニアを1匹いれておくと、稚魚は食べられまいと必死でアドレナリンを出し、結果、多くが生き延びるとの事例を出していた。
これは、「和を貴ぶ先にまっているもの」としての事例である。
皆が平等で富が配分されるとしたら、国民は働く意欲を失うし、努力や改善をする意味がないとなって国が滅びる。いい例が旧共産圏諸国である。

この事例を針や灸に適用するには乱暴かもしれないが、針や灸も生体にわずかな傷をつけることで刺激を与え、その傷を復旧しようとする生体の反応を利用するという意味では似ていると私は思う。

一時的には、針や灸で軽微な損傷が生じるが、その損傷を直すプロセスの中で、血管が拡張し、その結果、こりや痛みを起こしている部分の老廃物を流し去る、こりを解消するということになる。

針や灸は、その意味ではピラニア的だと思うと不思議な気がする。

4/01/2011

家庭医療

家庭医療と云うことで研修医と指導医のやりとりが記されている記事を読んだ。
来院患者は、32歳の女性。2日前から咽頭痛と鼻汁があり、本日より37度台の発熱がある。
見たては、軽症の上気道炎。咳や呼吸苦もなく、基礎疾患も特記すべきものはなし。
身体所見は、鼻粘膜の腫脹と鼻汁、軽度咽頭粘膜の発赤があるのみ。副鼻腔炎もし。
研修医は、対症療法として解熱鎮痛薬と総合感冒薬を処方するつもりとのこと。
これに関し、指導医は、それだけでいいのかと研修医に問う。
つまり、家庭医としては、それだけでは不十分で、未病を治すという考えで、何かアドバイスはないのかということ。
結論的には、32歳女性ということで、子宮頸がんの年齢でもあり、「子宮頸がんの検診」を受けたらどうかとのアドバイスを行った方がいいとのこと。
その他にも、「禁煙外来、イボ取り、栄養指導、運動指導」などなど、さまざまな医療・健康ニーズに幅広く対応できるように、また、次に来院するきっかけを提供できるように準備しておいた方がいいとのこと。

これは、鍼灸治療にもいえるのではないだろうか。
ただ単に主訴を聞いて、切診し治療をするだけでなく、身体全体を見て、聞いて、問診し、切診する。
また、東洋医学の分野だけでなく、患者様の健康管理を行っていくことも、めざす方向ではないかと思う。
一般の町医者は、家庭医としていわゆる一般患者の健康管理を行っていくべき方向性を示唆している。
同時に、これは、鍼灸師としての方向性も示唆しているのではないだろうか。