8/26/2010

ホメオパシー

インターネットの朝日新聞(2010.8.25)に以下の記事が掲載された。

「日本学術会議(会長=金沢一郎東大名誉教授)が、通常の医療とは異なる民間療法「ホメオパシー」の科学的根拠を全面否定する会長談話を出したのを受け、日本医師会と日本医学会が25日、共同会見を開き、賛同する考えを表明した。治療でこの療法を使わないよう、会員らに周知徹底する考えも示した。他にも賛同する団体が相次ぎ、医療現場で排除しようという動きが広がりつつある。」

山口市で、このホメオパシーを実践する助産師が本来投与すべきビタミンK2を与えずに、この女児が死亡したということで訴訟になっている。

この件に関して、長妻厚生労働大臣は、「本当に効果があるのかないのか、厚労省で研究していく」と述べた。
医学者らによる研究班をつくり、近くホメオパシーを含む代替医療に関するデータ集めを始める。

鍼灸に関しては、1979年にWHOから43疾患についての臨床試験にもとづく鍼灸の適応が発表されている。
その後、2000年には英国医学界も鍼の有効性に関する発表をしているが、日本ではそのような発表はされていない。

私見:
 安易な代替療法は、リスクが伴う。
当然に、患者にとって、EBM(Evidence Based Medicine:科学的根拠に基づいた診療)に基づいた診療が望ましいと思う。
根拠のない療法は、リスクが伴うものである。
当然、プラシーボ的効果もあるので一概に否定はできないが、医療従事者としては、十分な医療知識、リスクを含めた患者への説明を行い、患者を死に至らしめない、安全・安心な施術を心がけたい。
鍼灸も代替療法のひとつである。鍼灸に傾倒し、鍼灸だけに頼る患者がいたら、鍼灸師にとってはありがたいことであるが、そのような場合であっても、現代医学の知識を駆使し、医師に相談を勧めなければならない場合もある。
鍼灸は、緩和治療であり、疾病そのものを治癒することはできない、と考える。
それを誤解し、鍼灸が万能であるかごとく洗脳し、医師への診察を遅らせることは患者にとって不幸なことだと思う。医師への診察が適当と判断した場合は、すみやかに事情を説明し、医師の診察を受けさせることが医療人としての行動だろうと思う。

※参考→Wikipedia
※ホメオパシー:
 植物や動物、鉱物などを希釈した水を染み込ませた砂糖玉を飲む療法。