12/09/2010

終末期ということ

 終末期とは、文字通り、死ということである。
新聞やテレビを見ていると、日常茶飯事に多くの方が亡くなっているが、その多くが予期せぬ状態で終末期を迎えている。

しかし、逆に予期される死とはどのようなものであろうか。
死と終末期研究の先駆者、エリザベス・キューブラー・ロス氏によれば、死期を迎えた人は典型的に、拒絶、怒り、交渉、うつ、受容の5つの感情段階をこの順番で経験するという。

 拒絶期の人は、自分が死ぬことはないかのように行動し、話し、考えます。
拒絶の感情は、コントロールを失くすこと、愛する者から別れねばならないこと、未来が不確かなこと、苦悩することを恐れるために生じます。
医師や医療専門家と話し合うことにより、コントロールはまだ自分の手の中にあり、痛みや症状もコントロール可能なことを理解できます。

 怒りは、「なぜ私が?」と不公平を感じる気持ちとして現れます。

 交渉は死を論理的に考えているしるしで、患者は時間を求めるようになります。
交渉などの対応がうまくいっていないことがわかると、うつが生じます。

 受容の感情は、運命との直面と表現されることもありますが、家族、友人、ケア提供者と話し合った後に現れます。

死を覚悟するのはとても辛いことであり、したがって、頻繁な感情の浮き沈みを伴います。
多くの人にとって、死を覚悟するということは、新たな理解に達し、成長することと考えられます。
過去の痛みを忘れ、関係を修復することにより、死にゆく人と家族は心の平安を得ることができます。
(メルクマニュアル -終末期を迎える-より)

個々の人間は非常に複雑であることを認識した上で、果たして自分自身がこのような通常?の過程を経て終末期を迎えるのだろうかと考える。
おそらくは、短期間に、あるいは一瞬のうちにこのような過程が訪れてしまうのかと思う。
そうして、心の平安が得られないうちに終末期を迎えてしまうのだろうか。
答えはでない・・・

エリザベス・キューブラー・ロス(Elisabeth Kubler-Ross, M.D. 1926年7月8日 - 2004年8月24日)
精神科医で、死と死ぬことについての画期的な本(『死ぬ瞬間―死とその過程について』)の著者 。
その本の中で彼女は初めて今日死の受容のプロセスと呼ばれているキューブラー・ロスモデルを提唱している。まさに死の間際にある患者とのかかわりや悲哀(Grief)や悲哀の仕事(Grief work)についての先駆的な業績で知られる。

11/15/2010

はり治療の効果について

 2010年5月31日付けのAFP電は、「はり治療は、アデノシンとよばれる物質を放出させることで体の痛みを和らげているとする研究が23日、米ロチェスター大学メディカルセンター(University of Rochester Medical Center)の研究者らによって米科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス(Nature Neuroscience)」上で発表された。」と伝えています。

 はり治療に関するこれまでの研究では、末梢神経系よりも中枢神経系における効果に重きが置かれてきています。
中枢神経系では、はり治療を行うことによって脳にエンドルフィンとよばれる痛みを緩和する強力な化学物質を生成するよう命令が出ることにより痛みを緩和します。

 今回の発表は、末梢神経系において、はり治療にて痛みを緩和するメカニズムが明らかになったということです。
研究チームは、マウスの右前足に炎症を引き起こす薬剤を注射し、その後、マウスのひざの中心線の下部、「足三里」と呼ばれる部分に細いはりを刺しました。

 研究者らは、通常のはり治療と同様に、5分おきにはりをゆっくりと回転させる行為を30分にわたって行いましたが、その結果、行為中と行為直後には、はりが刺さっている周囲の組織に含まれるアデノシン量が実験前の24倍となったということです。
また、体を触った際や熱に対する反応時間から計測したマウスの不快症状の度合いは3分の1に減っていたという。

 さらに、遺伝子操作によってアデノシンを除去したマウスでも同様の実験が行われたが、はり治療の効果はなく、マウスは、はりを刺す前と同様、不快な症状を示していたということです。

※「5分おきにはりをゆっくりと回転させる行為」が通常のはり治療と同様かは疑問ですが、要は、刺激を加えたということでしょう。

9/29/2010

心筋梗塞

ある中高年の男性が山登りをしている最中に突然胸の痛みを訴え、ドクターヘリで搬送されたが病院で死亡が確認されたとの回覧が回った。
享年59歳だったそうである。
同年齢ということを考えると人ごとではない。
それで解剖学の授業を思い出し心筋梗塞のおさらいをしてみた。

心臓の役割
 心臓の役割は、ひとことでいうと全身に血液を送るポンプである。

心臓はどうして動くのか
 心臓を動かすためには、刺激伝導系と呼ばれる一定間隔で電気パルスを発する発振回路(特殊心筋)と、その電気パルスを受けて実際に心臓を動かす心筋(固有心筋)が関与する。

冠動脈
 心筋も血液から酸素を供給され活動のエネルギーを得る。
従って、血液から酸素が供給されなくなったとしたら冠動脈が壊死し、心臓は停止する(虚血性心疾患)。これが心筋梗塞である。
この心筋に血液を供給する血管が冠動脈であり、右冠動脈、左冠動脈がある。
さらに、左冠動脈は2つの枝に分かれる。それぞれに栄養する部位を分担している(※)

心筋梗塞の症状
 いわゆる「胸の痛み」であるが、「胸が苦しい」「重い感じがする」などと訴える場合も多いので鑑別の注意が必要。
また、同様の疾患で「狭心症」があるが、狭心症は、胸の痛みなどが数分から十数分程度であるのに対して、心筋梗塞は、安静にしていても30分以上症状が持続する。
さらに、左肩や顎への放散痛は特徴的とされる。
ただし、糖尿病患者では痛みなどの症状が認識されにくく、めまい、嘔吐、心窩部痛など不定愁訴を訴える場合があり、鑑別に注意が必要である。

心筋梗塞の治療
 医学的治療は、専門医に任せて、一般的には、絶対安静が原則となる。
そして、心筋梗塞ではないかと思われる患者に遭遇した場合は、患者から目を離さずに直ちに救急車を呼ぶこと。
患者が意識をなくし、更に脈拍を触れない場合には、即座に心臓マッサージを行うことが肝要である。

心筋梗塞の原因と発症因子
 一般的に考えられる原因には、動脈硬化(アテローム性動脈硬化、細動脈硬化)や血栓などがある。
アテローム性動脈硬化は、いわゆる粥状の隆起が動脈の内側に発生し、それが突然破れて、血管をふさい(血栓)だり、あるいは細動脈を詰まら(塞栓)せる場合をいう。
 これらの原因を引き起こすものとして考えられるものを列挙する。

・喫煙
・高コレステロール血症(特に高LDLコレステロール血症)
・糖尿病
・高血圧
・狭心症・心筋梗塞の家族歴
・加齢
・ストレス
・肥満
・性(女性より男性に多い)
・痛風(高尿酸血症)
・血液透析(※)
・高ホモシステイン血症

心筋梗塞にならない為に!
 一般的に記載するならば、「タバコを止め、減量する。脂濃い食事を控える。ストレスを解消する方法を見つける。」などだろう。
 NHKの番組「名医にQ-高血圧-」でホモシステインと高血圧の関係を放送していた。
 それによると、高血圧を防ぐ為には「葉酸」を適量取ることが良いそうだ。サプリメントを取ることも予防手段のひとつとなろう。
 もちろん、相変わらずの不摂生を続けていては、サプリメントも効果が無いことは言うまでもない。


※洞房結節、房室結節、His束、右脚、左脚プルキンエ線維を合わせて刺激伝導系と呼ぶ。

※冠動脈
 右冠動脈は洞房結節、房室結節、右心室、心臓の後壁および下壁を栄養。
 左冠動脈前下行枝は心室中隔、心臓の前壁、心尖部を栄養している。
 左冠動脈回旋枝は心臓の左側壁、左後壁を栄養している。

※長期透析患者は、主にビタミンD活性化障害のため低カルシウム血症になりやすく、骨を壊す破骨細胞が活性化される。
骨からのカルシウムの放出が増大すると異所性石灰化(骨ではない場所にリン酸カルシウム(骨の主成分)が沈着してしまうこと)が起こりやすくなる。
その為、動脈硬化性病変の進行を促して、心血管系や脳血管系の障害発生の確率が高くなる。
※ホモシステイン:必須アミノ酸のひとつであるメチオニンの代謝における中間生成物。

9/16/2010

脈と寿命

東洋医学で脈と言えば、次の6種類が基本とされる。
即ち、脈位:『浮、沈』、速さ:『遅、数』、強弱:『虚、実』である。
ところで、脈が速いと短命であると聞いたことはないだろうか。
数脈(90回/分以上)の人は、遅脈の人より短命と言うことである。
ゾウの時間ネズミの時間」(中公新書、筆者:本川達雄)によると、ほ乳類は、心臓が一定数打つと一生を終えると書いている。
人間もほ乳類の仲間なのだから、この説は、人間にも当てはまるのだろうか。
常識的に考えてもこの説は人間にも当てはまりそうである。
身近な例として、針金を手で切断する場合がある。
針金は、両方の手でかなり早く曲げ伸ばしを繰り返すと切断する。
同じ時間をかけても、かなりの回数を素早く繰り返すとそのうちに曲げ伸ばしをした部分は弱くなって、そこから切断する。
心臓の心筋も伸縮を早く繰り返していると早いうちに疲労して駄目になるだろうとは容易に想像できる。

東邦ガス診療所(名古屋市)の林博史所長は、時間生物学の概念を取り入れ、哺乳類ごとの体重や心拍数、心周期(1心拍にかかる時間)と寿命との関係を分析し、人間が一生の間に打つ心拍数は「23億回」とはじき出した。
この説によると、人間の寿命は下記の数式で示されるそうだ。
 寿命(年)=4376÷(1分間の脈拍数)

ちなみに、心拍数が70回/分だと、寿命は、62.5年になる。
ただし、心臓病の専門医の間では、人間の一生の心拍数に決まった限界があるとの考えに否定的な意見が多いそうだ。心拍数の増減は自律神経に左右されており、一部の不整脈のように心臓自体に問題があることは少ないからというのがその理由。

また、脈拍を速くする主な要因として以下の4つがあげられる(いずれも自律神経のバランスを崩す)。
(1)喫煙 (2)肥満 (3)高血圧 (4)糖尿病
従って、脈が速いから短命になるのではなく、速い人は生活習慣病を抱えている場合が多く、結果的に死亡リスクが上がるとしている。

東京都済生会中央病院の三田村秀雄心臓病臨床研究センター長も「心拍数は1分間70回前後が適切だが、何年も前から速い、遅いのであれば、それほど深刻に考える必要はない。むしろ脈は健康状態をみるマーカー。安静時でも急に速くなった状態が続くようだと、体に異変が起きているかもしれない」という。

「毎日、分速80メートルの早歩きを最低20分続ける。3~4カ月たつと、脈拍数は5~10減る。マラソン選手のように心臓が鍛えられるわけではないが、自律神経の過剰反応は抑えられる」と助言する。

(日経新聞web版、9/12付け 「脈速いと短命」は本当?)

8/26/2010

ホメオパシー

インターネットの朝日新聞(2010.8.25)に以下の記事が掲載された。

「日本学術会議(会長=金沢一郎東大名誉教授)が、通常の医療とは異なる民間療法「ホメオパシー」の科学的根拠を全面否定する会長談話を出したのを受け、日本医師会と日本医学会が25日、共同会見を開き、賛同する考えを表明した。治療でこの療法を使わないよう、会員らに周知徹底する考えも示した。他にも賛同する団体が相次ぎ、医療現場で排除しようという動きが広がりつつある。」

山口市で、このホメオパシーを実践する助産師が本来投与すべきビタミンK2を与えずに、この女児が死亡したということで訴訟になっている。

この件に関して、長妻厚生労働大臣は、「本当に効果があるのかないのか、厚労省で研究していく」と述べた。
医学者らによる研究班をつくり、近くホメオパシーを含む代替医療に関するデータ集めを始める。

鍼灸に関しては、1979年にWHOから43疾患についての臨床試験にもとづく鍼灸の適応が発表されている。
その後、2000年には英国医学界も鍼の有効性に関する発表をしているが、日本ではそのような発表はされていない。

私見:
 安易な代替療法は、リスクが伴う。
当然に、患者にとって、EBM(Evidence Based Medicine:科学的根拠に基づいた診療)に基づいた診療が望ましいと思う。
根拠のない療法は、リスクが伴うものである。
当然、プラシーボ的効果もあるので一概に否定はできないが、医療従事者としては、十分な医療知識、リスクを含めた患者への説明を行い、患者を死に至らしめない、安全・安心な施術を心がけたい。
鍼灸も代替療法のひとつである。鍼灸に傾倒し、鍼灸だけに頼る患者がいたら、鍼灸師にとってはありがたいことであるが、そのような場合であっても、現代医学の知識を駆使し、医師に相談を勧めなければならない場合もある。
鍼灸は、緩和治療であり、疾病そのものを治癒することはできない、と考える。
それを誤解し、鍼灸が万能であるかごとく洗脳し、医師への診察を遅らせることは患者にとって不幸なことだと思う。医師への診察が適当と判断した場合は、すみやかに事情を説明し、医師の診察を受けさせることが医療人としての行動だろうと思う。

※参考→Wikipedia
※ホメオパシー:
 植物や動物、鉱物などを希釈した水を染み込ませた砂糖玉を飲む療法。

6/21/2010

百日咳

百日咳が増加しているという。
 病理学や臨床医学各論などで勉強したが復習の意味で掲載。

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百日咳は、主にグラム陰性桿菌の百日咳菌による呼吸器感染症の一種。
発症機序は未解明で、特有の痙攣性の咳発作を特徴とする急性気道感染症。
世界的に存在している感染症で予防接種を受けていない人々の間で、地域的な流行が3~5年年毎に起きる。
一年を通じて発生が見られるが、春が多い。
小児期に三種混合ワクチンとして接種されるが、ワクチン接種による免疫の持続期間は約4-12年間とされている。

※三種混合ワクチン:
ジフテリア、百日咳、破傷風の3つの病原菌に対するワクチン。
それぞれ、Diphtheria、Pertussis、Tetanusの頭文字をとってDPTワクチン、DPTと呼ばれることも多い。

症状:
 回復までに約3ヶ月を要するので百日咳と呼ばれる。
発症の初期は、軽い風邪症候群のような症状が2週間くらい続く。
その後は、重い咳の発作が2~3週間続く(中期)。
最終的に、約2~3週間以上回復期として持続する(回復期)。

咳の発作は、昼間よりも夜間が起こりやすい。
1日の間で平均15回程度の咳発作となる。
発作が起こると、嘔吐、チアノーゼ、無呼吸、顔面紅潮・眼瞼浮腫(百日咳顔貌)、結膜充血の症状が見られ、尿失禁、肋骨骨折、失神も見られる。
発作による体力消耗は激しく、不眠や脱水、栄養不良等が著しい場合は入院治療が必要。

治療:
 日常生活では、咳の発作を誘発させない注意が必要。
たとえば、室温20℃以上(低温は咳を誘発する)とし加湿器により室内の湿度を上げ、水分を十分与え、粘性の高い痰を出しやすくする。
当然に、タバコ、煙を避ける。

医師からの処置として、主にマクロライド系抗生物質を2週間程度投与。
痙咳に対しては鎮咳去痰剤や痰の吸引、時に気管支拡張剤、酸素吸入。
十分な栄養と水分補給。
重症例ではガンマグロブリン大量投与。

なお、注意として、せき止め薬は使用しない。
(以上、(Wikipediaより)

注意:
 百日咳の疑いを持った場合は、必ず医師の診断を受け、処置を受けることをお勧めします。
自己判断は、禁物です。マイクプラズマ肺炎など似たような症状の病気もあります。
 以下の症状がひとつでもあれば、受診することをお勧めします。
   ①2週間以上続く咳
   ②息を吸うときに笛のような音がする
   ③咳き込んだ後に吐く

5/24/2010

脊柱管狭窄症

義理の叔母が(腰部)脊柱管狭窄症だといい、(鍼灸)治療を受けてきたそうだ。
そこで、この際、復習を兼ね、概要をまとめてみた。

■脊柱管狭窄症
・原因:
 脊柱管を通る脊髄神経が圧迫を受けることにより発症。
 中心型(脊柱管の中心で圧迫を受ける)、外側型(脊柱管の外側で圧迫される)、椎間孔型(椎間孔で圧迫を受ける)の3タイプがある。
 中心型の場合、前方を構成する椎間板が突出してくると、脊柱管内の馬尾神経や神経根( 坐骨神経の根本) が慢性的に圧迫を受けて、腰部や下肢に痛みが出てきます。
 外側型の場合、脊柱管( 馬尾神経を包む管)の後方を構成する関節や靭帯が、加齢により変性・肥厚することが原因。
 脚の痺れや重だるさは、腰部の神経を栄養している血管(血管も脊柱管を通る)が圧迫されることにより神経が栄養されなくなることによりおこる。従って、しばらく休むとまた血流が回復し、しびれなども回復する。

・症状
 間欠跛行が特徴的な症状
 →三大兆候:腰痛、下肢痛、間欠跛行
 →中高年に多い。
 →腰椎下部に多く見られる。
  (腰、おしりから膝にかけて、体の後ろ側に痛みやしびれがある)
 →腰を反らすと痛みが悪化し、前かがみになったりイスに掛けたりすると軽快する。
 →歩いたり立ったりしなければ、無症状のことが多いが、神経が変性するといつもしびれている。

・治療
 初期
  姿勢や日常生活の注意及び神経に効く薬の服用。
 また、温熱療法、運動療法、コルセット療法、神経ブロックなども有効。

 加齢とともに症状は悪化する傾向がある。
 この場合、腰の後ろ側から圧迫を取る手術を行うことも選択肢になる。

※日常生活の注意
・反った姿勢にはなるべくならない。
・杖や、手押し車の利用。
・エクササイズで使用されるような自転車を用いて筋力を高める(症状が軽い場合)。






5/18/2010

鼻閉、鼻汁

おきゅうさんが鼻炎だという。
鼻汁は黄色、最近、仕事が忙しくストレスを感じているともいっていた。
東洋医学的には、このような場合は、情志の失調、ストレスにより、肝胆の疏泄機能が失調し、肝火、鼻炎になると考えられる。
→鍼灸治療としては、太衝、風池、陽陵泉、上星、迎香などが選穴される。

また、忙しさで食が偏ると、脾の湿熱により脾の運化機能が低下し、脾胃に湿熱が発生し、鼻に影響ということも考えられる。
→脾兪、足三里、豐隆、太白、迎香などが選穴される。

3/31/2010

平成21年度(第18回)はり師・きゅう師国家試験結果

平成21年度(第18回)はり師・きゅう師国家試験結果が発表された。
第17回と比較して合格率は下がったようだ。
また、柔整師と比較しても合格率が下がっているのが今回の特徴だといえる。
この傾向は続いていくのだろうか。

平成21年度(第18回)はり師国家試験結果
 受験者数:5,283人 
 合格者数:3,990人 
 合格率 : 75.5%(78.7%)


平成21年度(第18回)きゅう師国家試験結果
 受験者数:5,262人
 合格者数:3,939人
 合格率 : 74.9%(78.4%)

詳細は、財団法人 東洋療法研修試験財団を参照してください。

ちなみに、柔整師の結果は以下の通り。

受験者数 合格者数 合格率
7156名   5570名  77.8%

第18回柔道整復師国家試験の合格基準

 1.必修問題については、配点を1問1点、合計30点満点とし、24点以上を合格とする。
 2.一般問題については、配点を1問1点、合計200点満点とし、得点が120点以上を合格とする。
 3.必修問題および一般問題のいずれも合格基準を満たしている者を合格とする。

   総得点(必修)   24点以上 /  30点
   総得点(一般)  120点以上 / 200点


3/17/2010

円皮鍼の効果は抜群!

3月13日、岳友会の友人と日光の戦場ヶ原をスノーシュー(西洋かんじき)を履いてトレッキングをしてきました。
早朝5時40分発の電車にのり、日光駅からバスで現地の三本松停車場についたのは10時頃。
それから、スノーシューをレンタルし、いざ戦場ヶ原の赤沼入り口からトレッキング開始。
光徳牧場入り口まで約3時間半を歩いた。
事前に陽陵泉、外膝眼、内膝眼、犢鼻、梁丘、風市に円皮鍼を貼っておいたが、効果抜群。
平常ならば長時間歩いていると膝周りに違和感や痛みを生じるのだが、今回はまったく感じることはなかった。
むしろ、慣れないスノーシューのせいで、かかとに大きなマメができ、それがトレッキング後半で片足だけ皮が破れてかなり痛かったのは想定外。
中禅寺湖で白濁湯の日帰り温泉に入ったが、温泉が相当に染みて痛かったのはいうまでもない。

3/11/2010

結膜炎にかかりました!

どうも月曜日あたりから目の白目の部分が充血していた。
どうせ、朝早くおきるからだろうし、飲んで帰ったからだろうというぐらいにしか考えていなかった。
しかし、鏡で自分の目をみてびっくり、あわてて眼科医にいった。
結膜炎は、ウィルス性や細菌性、アレルギー性等に起因するものがある。
眼科医にいったところ、結膜炎だろうということで天眼液を処方された。
本来なら、原因菌を判別して、対応する処方をするのだろうけれど、ちょっと見ただけでの処方だから効くのか効かないのかわからない。
結膜炎というのは「はやりめ」ともいわれ、一般的らしい。
そうするといつ感染したかわからないが、おそらく発病するかしないかは、免疫力の差だろうと思う。
そうなると日ごろから、免疫力を高めないといけない。
鍼灸師は、体が資本。がんばろう!


3/04/2010

古代中国の臓腑観

似田敦先生(あんご針灸院)がブログの中で古代中国の臓腑観ということで見解を述べておられた。
もともとは、「漢方の認識 増補 (NHKブックス 100)」から引用されたものだが、興味深かったので紹介させていただく。
これによると、心包は心を覆い、肺がそれを覆う、そのセットの下に、小腸があり、小腸を三焦が覆い、その小腸・三焦ペアを大腸が覆う。
肺、大腸は、五行でいえば、金、心・心包、小腸・三焦は、五行でいえば火となる。
イメージ的には、金を火であぶるという、金の精製工場がイメージされる。
さらに、その精製工場の横に、燃料を供給する、脾・胃が位置づけられ、精製工場から生成された物質を利用する、肝・胆が出力側に存在する。
また、腎・膀胱は、精製工場からの廃棄物を処理する臓器として位置づけられると解説されている。
こう考えると、古代ヨーロッパの錬金術と古代中国の臓腑観がオーバーラップし、非常に分かりやすいし、また理解し易いのではないだろうか。
興味深い。

3/02/2010

解答速報

第18回国家試験の解答速報掲載サイト。
解答だけですが、ここで参照できます → 解答速報サイト



3/01/2010

鍼治療で死亡事故

ちょっと古い話だが、2010年1月16日に「大阪・池田市ではり治療(鍼治療)後に女性が死亡」という放送が流れた。
54歳の女性が前年から鍼治療を受けていたが、12月15日、はり治療後、突然に具合が悪くなり、翌日、低酸素脳症で死亡した。
問題の治療院は、「メイプル鍼灸(しんきゅう)整骨院」で、2008年4月より、柔道整復師の免許を持ち、はりの専門学校に通う容疑者(26歳の元副院長)に治療させていたという。
はり治療をした際に、肺を数カ所傷つけた疑いがあるみられている。
2月24日に院長と施術をした元副院長が逮捕された。

鍼灸治療が国家資格となっている意味は、きちんとした知識が無ければ、危険があるということにもある。
その為に、東洋医学だけでなく、解剖学や生理学を学び、衛生や消毒などの知識も習得する。
そのような知識がないものが施術することは、「あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師等に関する法律違反」だけでなく、相当に危険を伴うことを理解しなくてはならないと思う。
一方、臨床経験については、現在の制度では不足している感は否めない。
実際の臨床現場での臨床経験が必要だ。
その為には、適切な指導・管理の下、臨床経験をさせる制度・仕組みが求められている・

いずれにしろ、背部の、特に、膏肓あたりなどは、表皮から肺へ厚みが薄いので注意が必要なのはいうまでもない。



2/18/2010

ああ是れ

最近はどうも阿是穴ばかり使っている気がする。
五行論をつかったりはしない。
別の言い方をするとトリガーポイント療法かも。
自分の治療スタイルの確立が必要だと考えるこのごろ。

灸法実践マニュアル―開業鍼灸師のためのガイドBOOK 督脈通陽法で治療効果を高める

2/17/2010

国家試験

1年経つのは早いものだ。また国家試験の季節が来た。


国家試験種別 試験日      合格発表日
--------------------------------------------------------------------------
①あん摩マッサージ指圧師国家試験 平成22年2月27日 平成22年3月25日
②はり師国家試験 平成22年2月28日 平成22年3月25日
③きゅう師国家試験 平成22年2月28日 平成22年3月25日
④柔道整復師国家試験 平成22年3月07日 平成22年3月25日

平成20年度(第17回)の合格率(はり師の場合)
----------------------------
受験者数  5,354人
合格者数  4,216人
合格率    78.7%

第16回が78.2%だったので17回は同程度だったようだ。18回はどうだろうか。

2/04/2010

ボランティア

1月31日に新宿ハーフマラソンが行われた。
鍼灸師会の支部がボランティアでマラソン参加者に対する施術を行った。
もちろん、毫鍼を使用した通常?の施術ではなく、0.3mmの円皮鍼を使用し、ランナーの腰から下部への主訴に対する対応がメインであった。
約500人強のランナーが処置を受けたと思われます。
簡易ベッド7個を設置したテント内での対応でしたが当日は天候にも恵まれランナーにとっても寒くは無かったと思う。
医療用のラテックス手袋を装着し、衛生面には万全を期しており、多少のやりづらい点もあったが、安全に注意し過ぎることはない。
多くのランナーの方が満足されたことは鍼灸師としてボランティアに参加した甲斐があったというもの。
次回も参加しようと思う。
それにしても東京マラソンに参加しますかの問いに多くのランナーが抽選にはずれましたと回答したことには驚かされた。
東京マラソンの完走より、抽選に当たる方が難しいんですね。

腰痛ガイドブック 根拠に基づく治療戦略(CD付)